ちいさなガチョウを通して… (2008年度6月号より)
今、私の手元には“オカリナ”と言う一つの楽器が有ります。
小学校で習う、リコーダーの様に12個の穴を押さえ、息を吹いて音を出す楽器です。
きっと皆さんも目にした事は有るでしょう。「知らないなぁ。」と思った方は、スタジオジブリのアニメ「となりのトトロ」でトトロが小トトロ達と木の上で「ほーぅ♪ほーぅ♪」と吹いている楽器を思い出してみて下さい。あれが、“オカリナ”です。
この“オカリナ”とはイタリア語で「ちいさなガチョウ」と言う意味が有ります。なぜこの楽器が「ちいさなガチョウ」と名づけられたのでしょうか? 一説には、オカリナの吹き口が、ガチョウのくちばしに似ていることから由来している。もう一説には、オカリナは楕円の形をし、ちょうど頭のない子ガチョウのように見える事に由来している。とも言われています。言われてみれば確かにそんな風に見えなくもありません。
そんな、かわいい「ちいさなガチョウ」の歴史はとても古く、最初は紀元前3000年のメソポタミア文明の中にも見出すことが出来ます。古代のオカリナは主に神事や儀式などに使われていたそうです。
オカリナはあまり音が大きくなく、音域も広くありません。現在使われている吹奏楽器は、「もっと大きな音が出せて、もっと広い音域が出せて…」と改良を重ねられてきたものが多くあります。たくさんの音楽が溢れている今日、私達の知り得ない昔から神様を賛美していた人々の想いをのせて、慎ましく、かわいらしい音を奏でて来た「小さなガチョウ」の身体を借りて、今を生きる私達の生きている証しでもある呼吸、“息”を吹き込んで鳴る音。息の強さによって自由自在に変化する音程や音色。この楽器の魅力に早くも私は取り付かれています。
そんな、楽器が私の手元に有るのは、夏期学校での賛美にこの、オカリナが使用されるからです。皆で賛美するにはピッタリ楽器だと思いませんか?夏期学校を楽しみにしていて下さいね!
小学科3年年担任 Y.I
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